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配管ガスケットの使い分けについて|流体の種類、圧力、温度などによる

こんにちは。ハジイチです。

流体の種類、圧力、温度などによって、配管ガスケットをどのように使い分けるのかまとめてみました。

ガスケットには多くの種類があり、同じガスケットでも使い方を誤るとまったく機能しないことがあります。

ガスケットの性能は、フランジのガスケット座面と締結用ボルトとの相互関係で決まります。

以下にガスケットの種類、特徴、用途などについて説明します。

(1) ジョイントシートガスケット

ジョイントシートガスケットは、無機繊維、アラミド繊維などに炭素繊維を加え、バインダーとして特殊ゴムを使用します。

このガスケットは、ステンレス鋼フランジに適しています。

使用温度はおおむね - 100 ~ 200℃、流体圧力は1~3MPa です。

100℃以上で使用する場合は、ガスケットの厚さ、バインダーの添加剤/補強材についてメーカーと協議が必要です。

一般的には、次のような流体に使用されます。

水、塩類溶液、弱酸および弱アルカリ溶液、100℃以下のなどについては3MPa程度まで、空気、排ガス、不活性ガスなどについては1MPa程度まで。

(2) 渦巻きガスケット(セミメタリックガスケット)

渦巻きガスケットの基本構造は、「く」の字型の薄い金属板と非金属のクッション材の組み合わせで構成されます

クッション材として膨張黒鉛、無機繊維、アラミド繊維、PTFE(フッ素樹脂)などが使用されます。

金属の種類とクッション材の組み合わせによってさまざまな種類のガスケットが製造されており、それぞれ耐薬品性、耐食性が異なります。

ガスケット補強の目的で、外輪を付けたもの、内輪を付けたもの、あるいは両方を付けたものがあります。

このようなガスケットの構造と構成材料の組み合わせにより、使用条件(温度、圧力、流体)が異なるので詳細はメーカーと協議が必要です。

(3) ゴム系シートガスケット

このガスケットは、ゴムの弾力によって低面圧でも安定したシール性能を有します。

ゴム補強のために布を入れることもあります。

このガスケットは気体には不適で、主に水、海水、排水などの水系流体に使用されます。

使用温度範囲はゴムの種類により異なり、おおむね-30~200で、圧力は1MPa程度までです。

(4) 布系ガスケット

このガスケットは布にゴム化合物を塗布したもので、大口径フランジのように高い締め付け面圧がとれない箇所に使用します。

シール性能が十分ではないため、多少の漏れが生じることがあります。

推奨使用箇所は、低圧蒸気、排ガス煙道、ボイラー燃院などの大口径フランクジやマンホールで、使用温度は布の補強方法にもよりますが最大で6000℃くらいまで。

(5) PTFE 系(フッ素樹脂系)ガスケット

PTFE系ガスケットは耐薬品性および耐汚染性に優れています熱可塑性樹脂のため、高温で軟化しすく常温でも強い力を加えるとクリープ変形を起こしやすい性質を有します。

この欠点を補うために充填材を混合して補強する方法が取れられてます。

補強材を使用しないガスケットの場合、強い力でフランジを締め付けるとクリープ現象でガスケットが逃げてしまい、フランジ面圧が低下することがあります。

充填材には黒鉛、無機材料が用いられ、その種類によって耐熱性が変わります。

このガスケットは、強酸、強アルカリなどの耐薬品性があり、耐汚染性も高いので、その特性を利用してファインケミカル、医薬品、食品、石油化学の分野で幅広く利用されています。

使用温度は充填材により異なり、 -150 ~ 150℃程度、圧力は1~2MPa程度です。

(6) 黒鉛系ガスケット

このガスケットは、純度の高い黒鉛結晶を処理した膨張黒鉛材が主成分で、耐熱性および耐薬品性に優れ、柔軟性に富みます。

しかし、単体では強度が低く、傷がつきやすいので取り扱いには細心の注意が必要です。

このため、単体のガスケットとしては小さい呼び径に限られます

大きい呼び径には、ガスケット補強のために金属の円板に膨張黒鉛材を塗布したものが用いられます。

この場合でも、傷がつきやすいことには変わりがないので、取り扱いには十分注意しなければなりません。

強酸(硝酸、濃硫酸、クローム酸など)、ハロゲン化合物、酸素などには使用できませんが、幅広い温度範囲で使用できるので、LNG、液体窒素、腐食性の強い流体、熱媒体油などには適しています。

使用温度は補強構造および流体によって異なり、-240~800程度で、圧力は、おおむね3~5MPaまでです。

(7) メタル系シートガスケット

このガスケットは、軟質ガスケット(ジョイントシート、PTFE など)が使用できない高温・高圧の場合に使用されます。

ガスケットの材質は、軟鋼、純鉄、ステンレス、銅、アルミ、チタンなどですが、フランジのガスケット座面保護のためにフランジよりも硬度の低い材質を選定します。

ガスケットの形状は円板で、ガスケット表面にセレーション仕上げをする場合があります。

ガスケットにセレーションをする代わりに、フランジのガスケット座面にセレーション加工をする製品も製造されています。

セレーション加工

(8) メタル系リングガスケット

このガスケットは、金属製のリング状の形状で、材質は、メタル系シートガスケットと同じ軟鋼、純鉄、ステンレス、銅、アルミ、チタンなどです。

同じメタルガスケットでもリング ガスケットのシール性能は、シートガスケットより優れていますが、ガスケット座面により精密な仕上げと高い寸法精度が要求されます。

仕上げ精度について JPI のフランジ規格(JPI-7S-15)ではつぎのように規定されています。

平面座および全面座では、表面粗さの呼び値(Ra)が3.2~6.3、リングジョイント座では1.6となっています。

また、JPI のガスケット規格(JPI-7S-81)では参考規定ですが、ガスケットの種類と流体に応じてフランジ座面の粗さをこまかく示しています

この他に、JPI のフランジ規格(JPI-7S-15)ではガスケットの種類とフランジ座面の組み合わせについての規定があるので、これらも参考にしてください。

ハジイチ
以上ハジイチでした。参考にしていただければ幸いです。

 

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