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配管材料において高温用と低温用にはどのようなものがあるのか?まとめ

こんにちは。ハジイチです。

高温用配管材料と低温用配管材料にはどのようなものがあるか皆さんご存知でしょうか。

そんな初心者の方のためにまとめてみたので参考にして下さい。

高温用配管材料

STPG 370 などの一般炭素鋼の使用上限温度は 300 ~ 350℃であり、これを超える高温サービス用材料としては、

  • キルド鋼 (炭素鋼)
  • クロムモリブデン鋼
  • オーステナイト系ステンレス鋼

がある。

 高温配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3456 STPT)

  • この材質は、炭素鋼ですがキルド鋼でかつリンと硫黄の不純物をSTPG材よりも低く抑えている
  • このため、使用温度の上限は、450℃程と高くなる。
  • キルド鋼とは、酸素と親和性のあるアルミあるいはシリコンを溶鋼中に添加し、十分脱酸をした鋼
  • 溶融中に脱酸をすることにより、固化する時にガスの放出がなく、静かに凝固するので組織は均一となる。
  • アルミの添加により結晶粒が微細化され、組織の均一化効果と併せて高温域まで使用可能となる。

配管用合金鋼鋼管(JIS G 3458 STPA)

  • いわゆるクロモリ鋼といわれる低合金鋼で、クロムの含有量が多いほど耐熱性は向上する。
  • 使用温度の上限は、クロムとモリブデンの含有量により400~550℃程度です。
  • この材料は耐熱性能は優れていますが、クロムの含有量およびパイプの肉厚に応じて溶接部の予熱あるいは後熱処理が必要となる。
  • 詳しくは、ASME B31.3 Process Piping Code を参照のこと。

 配管用ステンレス鋼管(JIS G 3459 SUS-TP)および配管用溶接大径ステンレス鋼管(JIS G 3468 SUS-TPY)

  • オーステナイト系ステンレス鋼は、高温用としてのほかに低温用および耐食鋼として幅広く利用されている。
  • 高温用として用いる場合は、以下の注意が必要
  • 一般のオーステナイト系ステンレス鋼の上限温度は、400℃程度です。
  • 特に、低温用として用いられる低炭素オーステナイト系ステンレス鋼(たとえば SUS304 LTP)は、高温強度の低下が著しいので一般のステンレス鋼よりは上限温度が低く、それを超えないようにしなければならない。
  • オーステナイト系ステンレス鋼の場合、長時間 350~800℃にさらされると粒界腐食割れを生じ、750℃近辺では短時間に粒界腐食割れを生じる。このため、SUS 304 TP のような汎用オーステナイト系ステンレス鋼の場合は、上限温度を400℃程度にしなければならない。
  • これより高い温度で使用する場合は、粒界腐食割れに抵抗性のある Mo、Ti、Nb を添加元素に含むオーステナイト系ステンレス鋼の選定が必要となる。
  • たとえば、添加元素に Mo を含む SUS 316 TP および SUS 317 TP、Ti を含むSUS 321 TP、Nb を含む SUS 347 TP など。
  • この場合でも、SUS 321TP および SUS 347 TP の上限温度は 500 ~ 550℃
  • 500℃を超える温度で使用する場合は、炭素の含有量を 0.04%以上とするか、高炭素オーステナイト系ステンレス鋼の SUS 321 HTP あるいは SUS 347 HTP を用い、かつパイプ製造時に 1,000 ~ 1,100℃付近での固溶化熱処理が必要となる。
  • このような高温域で用いられるステンレス鋼は、溶接部についても同様に固溶化熱処理が必要。
  • 高温サービス用ステンレス鋼の熱処理の詳細については、JIS あるいは ASMEの規格類を参照

低温用配管材料

低温用配管材料として

  • 低温配管用鋼管  JIS G 3460 (アルミキルド鋼およびニッケル合金鋼、STPL)、
  • 配管用ステンレス鋼管  JIS G3459 (SUS-TP)
  • 配管用溶接大径ステンレス鋼管  JIS G 3468 (SUS-TPY)

が使用されている。

STPL 材の場合の最低使用温度は、

  • STPL380 が -45℃
  • STPL450 が -100℃
  • STPL 690 が -96℃

この温度はそれぞれの材質の遷移温度(せんいおんど)。

遷移温度とは

鋼が低温にさらされると衝撃値が低下し、破壊した破面は脆性破面(ぜいせいはめん)になります。

このとき、簡便的に、破面の脆性破面率が50%になるときの温度を遷移温度といいます。

  • LNG プラントなどで用いられる極低温用オーステナイト系ステンレス鋼の場合は、一般のステンレス鋼よりも炭素含有量を低く抑えた鋼種、いわゆるL材が使用される。たとえば、SUS 304 LTPSUS 316 LTP など。
  • 低炭素ステンレス鋼を用いる理由は、炭素含有量が少ないほど遷移温度が低くなるので、低温脆性を避けることができるから。
  • STPL 材も低温用として十分な性能を備えていますが、これまでの LNG プラントでは圧倒的にステンレス鋼管が用いられている
  • その理由は市場性(入手のしやすさ)によるものと思われるので、材料の選定をする時には、鋼材販売会社とよく協議が必要。

まとめ

高温用と低温用の配管材料についてどのようなものがあるのかまとめてみました。

参考にして頂けたら幸いです。

ハジイチ
以上ハジイチでした。
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