こんにちは。ハジイチです。
配管サポートは配管設計の中では地味な存在ですが、非常に重要な部品です。
このため、サポート設計は配管設計の中でも重要な位置
響します。
はじめに
- 配管サポートは、単に重量を支持するだけではなく、防振や熱応力
対策に不可欠。 - サポートの種類も固定サポートだけではなく、スプリング
ハンガーのような可動サポートがありますが、ここでは固定サポートについて述 べる。 - 固定サポートには、形状とは別にアンカー、ストッパーおよびガイ
ドという機能の面からの区分がある。 - アンカーは配管の全方向の動きを固
定するサポート、ストッパーは配管の軸方向を拘束するもの、ガイドは軸直角方 向の動きを拘束するものを意味する。
スタンションサポート
- スタンションは配管の重量を支持するための代表的なサポートのひ
とつで、エルボに取り付けられる場合が多く見られる。
- 配管とサポート材は、通
常パイプと同種の材料を使用しますが、配管が合金鋼の場合、サポー トの途中でフランジを介して材質を炭素鋼に落とすことがある。 - この場合のフランジは規格フランジではなく、適当な炭素鋼板を円形もしくは
四角に切断し、そこにスタンションサポートを溶接してボルトで締結する。 - フラ
ンジはパイプ側と基礎側ともに炭素鋼を用いる。 - その材質は入手しやすい汎用
的な材質、たとえばフランジ板は JIS G 3101 SS400、下部支柱のパイプは SGP 程度でよい。 - スタンションサポートを熱応力対策の固定点として扱う場合は注意が必要。
- スタンションが長い場合は、配管からの力を受けてサポート自体がたわみ、アンカーとはならない。
- アンカーとみなせるためには、特に高い剛性が必要。
- 配管系が昇温した時、サポートによる拘束がなければサポートで生じる自由熱変位量の少なくとも1/10程度以下の変位となるようなサポート剛性を目安とする。
- サポート基礎も配管系からの作用力に耐えることが必要で、特に水平方向の耐力が必要となる。
- 重量支持用の標準サポートをそのまま使用するのではなく、水平荷重条件に応じて
個別に検討する。 - 基礎についてはそれに見合うものが必要。
ダミーサポート
- こ
のサポートはパイプラックに積載された配管によく用いられる。 - 配管は、パ
イプラックの梁から梁へと設置されるが、取り合いの関係で梁の直前でラック から離れる場合にダミーサポートが用いられ、ちょうどスタンションサポートを 横にしたような形状をしている。 - 通常、ダミーサポートは配管の自重を支持する目的だけで使用され、
梁から1m程度以内の短い距離でかつ比較的呼び径の大きい配管(150 A 程度以上)が対象となる。 - サポートを使用するときは、配管の熱伸縮による軸方向変位が生じ
てもサポートの終端が梁から外れないように少なくとも 20 ~ 30 cm の余裕代を確保しなければならない。 - サポートの終端を開口のままにしておくと
雨水が浸入し、腐食の恐れがあるので、サポートの底部に 1、2箇所の水抜きの穴を設けておく。
スチールバンド
- スチールバンドの用途を
大別すると固定用とスライド用の2種類がある。 - 取り付け条件に応
じて2つ割にする場合と1つのバンドとする場合に分けられる。 - 固定用バンドは、バンドの高さ(径)をパイプの外径より小さ目に
し、取り付け箇所またはサポートにボルトで締め付けて配管を固定する。 - ス
ライド用は、逆にバンドの高さ(径)をパイプの外径より大き目にし、管軸方向 の動きを拘束しないようにする。 - バンドの厚さは、パイプの呼び径によりますが3~5mmくらい、
幅は 50~100 mm 程度がよい。 - 材質はスタンションサポートのフランジ板と同様に加工
性がよく入手しやすい炭素鋼の汎用材で、JIS G 3101 SS 400 あるいは相当材でよい。 - スチールバンドを用いる目的は、主として溶接を避けるためと運転
中に火気使用をせずにサポートを取り付けるためです。 - クロム合金
鋼の場合、サポート部材であってもパイプに直接溶接するためには予熱あるいは 後熱処理が必要です。このような時に、炭素鋼のスチールバンドを用いてそこに サポート部材を溶接すれば熱処理が不要となり、作業時間の短縮とコスト削減が 可能となります。 - スチールバンドとサポートを組み合わせて事前に製作し、現
場では取り付け作業だけを行えば、運転中でも火気を使用せずに作業が可能と なり、緊急時にも対応できます。 - この場合、バンド取り付けのための現場での穴
あけ作業にエアドリルを用いれば、火気は不要となります。
パイプシュー
- パイプシューは、断熱材を装着する高温あるいは低温配管に用いら
れる。 - シューの脚は1本と2本の場合があり、おおむね 150 A(6B)以上の呼び径では2本脚が用いられる。
- 低温配管用シューの場合は、シューの途中に強度のある断熱材を挿入する。
- シューの高さは、保温・保冷材の厚さ + 20~50 mm くらいが適当で、同じ呼び径の配管でも保温・保冷の厚さに応じて高さを変えなければならない。
- 低温配管でも、極低温配管のLNGの場合は、断熱材自体に配管系の重
量を支持可能な十分強度のあるものを用い、シューを使用しない例がある。 - パイプラック上で、エクスパンションループを組む配管の場合はシ
ューの長さに特に注意しなければならない。 - ループの近くでは配管の熱変位
量が大きいので、シューの長さが不足すると梁から外れることがある。 - 運転
中に落下してそのまま見過ごすと、運転停止時の配管収縮に際し、シューが梁に 引っかかりその配管系に過大な応力や変形を生じさせるだけではなく、鉄骨側も 損傷させることがある。
- ガイドやストッパーをシューと併用することがある。
- 熱伸縮対
策として管軸方向だけの動きを許容させる目的でシューの両側にガイドを取り 付けたり、管軸方向の動きを拘束する目的でストッパーをシューの裏側につけた りする例がある。 - また、この両者を同時に併用することもある。
- いずれの方向を
拘束するかは配管系の熱応力検討結果による。 - 熱応力解析の結果、配管からシューあるいはガイドに非常に大きな
力が作用する場合、シューあるいはガイドの強度をチェックしなければならない。これを怠ると、運転開始後にシューの溶接部あるいはガイドがとんでしま うという事故が発生することがある。 - ストッパーは、高い精度のもとで施工をしない限り、梁との間にす
き間を生じ、管軸方向のストッパー効果が発揮されません。 - 厳密な拘束効果を必
要とする場合には、シューを梁に直接ボルトで固定するか溶接します。 - 前項の「スチールバンド」でも述べたが、配管がクロム合金鋼
のような場合、パイプ本体にシューの部材を溶接すると、溶接施工とその品質 管理に多くの工数を要する。 - このような場合には、2つ割のスチールバンドを
パイプに取り付け、そのバンドにシューを溶接する方法もある。
まとめ
配管サポートにはどうような種類があるかまとめてみました。
参考にして頂けたら幸いです。
ハジイチ
以上ハジイチでした。